抜歯の治療後、口腔外科の手術後
・麻酔はいつまで効いていますか?
口の中に用いる局所麻酔はだいたい2時間くらいで効果がなくなります。麻酔をした場所や量によっても作用時間は異なりますので、ご自身で麻酔した部分の感覚を確認してもらい、感覚がしっかり戻っているようでしたらお食事などを摂ってください。
麻酔直後で効果が残っていてもお水の摂取はしていただいて構いません。季節によっては脱水の方が心配というのが理由です。
ただし一時的に唇の感覚がなくなっていることがありますので、含んだお水が口からこぼれやすいことが予想されます。周りに水分が飛んでしまう可能性があることを踏まえた上で摂取してください。
麻酔が効いている間の食事摂取は基本的には控えて下さい。麻酔が効いて感覚がない部分の粘膜を誤って咬んで傷つけてしまっても、麻酔が切れるまで痛くないので分からないのが理由です。
ただし糖尿病の方で低血糖になってしまいそうな方は危険が少ないものを摂取していただく場合は、摂取していただいた方が良いと考えますので個別の対応について心配な方は御相談ください。
・抜歯後あごが痛い。口が開きにくい。
歯を抜いた後は一時的に抜いた刺激により周囲の組織が炎症を起こします。親知らずなど奥歯を抜いた後に炎症により一時的に口が開きにくくなることがあります。基本的にはまた口が開くようになるので心配せず安静にしていてください。
また下あごの歯を抜くときに歯の状態によっては顎を強く下方向に押す必要がある場合があります。そういった操作が多く必要だった場合に、術後に顎の調子が悪くなる(顎関節症)になることがあります。
そういった症状が出た場合も対応しますので御相談ください。
歯を抜いた後に出る痛みは場所の特定しづらい放散痛であることが多いです。
痛みが強い場合、顎自体が痛く感じたり、下あごの歯を抜いたのに上あごも痛い気がしたりなど周囲の場所も一緒に痛いという感覚になることがありますが、そういったケースであれば他の部位に異常が発生したわけではありません。痛みが落ち着く時期になるまで痛み止めなどをお飲み戴きながら様子を見て下さい。
・痛み止めを2回目以降飲む際にどうすればいいですか?
基本的には4時間程度は開けてから2回目以降をお飲みするようにしてください。
痛みが強い場合には1回2錠飲むこともできるお薬ですので、1錠目の痛み止めの効果が弱い場合に追加で1錠だけ飲んでいただく場合に限っては、内服間隔など特に制限はありません。
3錠目以降で4時間以上時間を空けるのは痛くてしんどいという場合に関しては個別に御相談いただきますようお願いします。
・口から血が出てきた。
抜歯など口腔外科手術後の後に止血した状態で診察は終了します。
こちらとして止血できていると考えられる状態でも、うがいをした時にはいた水が少し赤く染まることが多いです。
鼻血の様な濃厚な血液がドロドロ出る状態がなくなれば止血完了と判断はしますが、手術の後は生傷になっているため、僅かな血液は滲む状態になっていることが多いです。
血液は少し混じるだけでも水に色が付くため、手術後は止血しても僅かに出てくる血液によってしばらくはゆすいだ時に赤い色に染まるのは仕方がない現象のため、そういった類のものであれば心配しすぎないようにしてください。
しかしながら、まれに再止血処置が必要な術後出血が起きている場合もございます。鼻血のような濃厚な血液が溢れ出てくるような場合です。その際は早めに御連絡ください。
・頬が腫れた。
抜歯や口腔外科手術後は手術の刺激に対する体の反応により頬が腫れることが頻繁に起こります。腫れは手術の2日後くらいにピークを迎えることが多いです。
そのため、手術の翌日や明後日まで腫れが大きくなることも多いので心配されることもあるかと思いますが、その後はだんだん引いてくるのでご安心ください。
腫れること自体に関しては体の正常な反応であるため、無理に腫れを引かせるための治療や投薬などはありませんのでそのまま安静にしていてください。
・縫った糸が取れてきました。どうすればいいですか?
個別に対応する事案にはなりますが、ほとんどの場合は縫い直しは必要ありません。
口の中は粘膜が薄くよく動く部分のため糸が取れやすい部分です。多少糸が途中で取れることを想定して縫うときは少し多目に縫うことが多いです。1本2本取れること自体は想定内です。
また、縫ってから2日くらいすると、完全に固着していないとはいえ、切った粘膜は簡単には位置がズレなくなります。
縫う場合は粘膜を想定した位置に固定するのが目的なので、2日後以降は糸がなくても位置がズレてしまうことはあまり心配しておりません。
・抜いた部分に食べ物がつまりやすい。
しばらくの間は仕方ない現象となります。ご了承ください。
歯ぐきの中には歯槽骨があり、歯は骨の中に歯根を生やしています。そのため歯を抜くと歯根の形をした骨の凹みができます。
骨の凹みにまずは数週間以内に歯ぐきが生えてきて傷を塞ぐのですが、骨の凹みに沿った形で生えてくるので歯ぐきが生えてきてもまだ凹んでいる感じは残ります。
次第に凹みは浅くなり、平坦になってくるのですが、最終的に凹みがまったくなくなるのは、くぼんだ所に骨が完全に生えるまで時間が必要になります。
骨の修復は体の回復としては比較的時間がかかる組織のため、歯を抜いた後の凹みが平らになるまで時間が掛かります。
・抜いた手前の歯がしみる。歯ぐきが腫れる。
歯を抜いた後、抜いた部分は歯ぐきが必ず多少は下がると言われています。抜いた部分の歯ぐきが下がると隣の歯の歯ぐきも一部が少し下がる事になります。
下がった部分が知覚過敏となり冷たい物でしみる症状が出ることがあります。知覚過敏の治療薬をしみている部分に塗布すると症状が緩和されることもあります。御相談ください。
歯を抜いた部分の治癒が進むとしみる症状が改善することもありますので少し様子をみさせて貰うことも多いです。
歯を抜く場合、親知らずであるにしろ他の歯であるにしろ、ある程度は歯周病などが進行している場合が多いです。歯と歯の間で歯周病が進行した場合、原因の歯だけでなく、隣の歯も歯周病の影響を受けます。
抜いた歯の隣も歯周病になっていることが多く、一番悪い歯を抜けば完全に歯周病が解決する訳ではありません。抜いた後に隣の歯の歯周病症状が気になり出すこともよくあります。他の歯が抜くことにならないよう注意を払って良い状態を維持してください。
・手術したところは氷で冷やした方がいいですか?
熱く腫れている部分を冷やすことは冷罨法と言って炎症を静める働きがあり、少し楽になるためやっていただくことは許容できる行為です。
ただ氷水のような温度が極端に低いもので長時間冷やすと、冷やした部分の組織が損傷を受けてしまい、しばらくの間組織が硬くなってしまうことがあります。
冷罨法を行うことが治癒を促進する訳ではないので、心配であれば何もせず安静にしていだければそれで構いません。