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歯周病の治療後

・治療受けた所から出血していますが大丈夫ですか?

 歯周病の場合、歯の周りを取り囲む歯ぐきが炎症を起こしています。歯の周りをきれいにすると炎症は治まります。

 炎症を起こしている歯ぐきはとても出血しやすいので、歯周病の歯の周りをきれいにしようとすると出血はどうしても避けられません。

 出血量は全身を考えると微々たるものですし、よほどの全身の病気がない限り出血は止まりますので心配しすぎないようにしてください。

 また歯周病の患者さんの場合の歯磨きの時もしっかり磨こうとすると多少の出血はどうしてもあると思いますが、出血するのは必ずしも磨き方が悪いという訳ではないことも知っておいてください。

・歯石取りって必要なのですか?

 歯石の硬さの主成分は唾液のカルシウム分が析出して歯に付着したものです。そう考えるとあまり体に害がないように思えますね。

 ですが、歯石の内部にはむし歯や歯周病を引き起こす病原菌が住み着いており、歯石を根城にしています。歯石の内側にいる病原菌は歯磨きで落とせないのでセルフケアでは太刀打ちできません。

 つまり歯石を取るというのは「石を除去する」という目的でやっているのではなく、「硬い殻を持った病原菌を除去する」という目的でやっています。

 また歯石取りの際には一緒に歯垢も除去しています。歯ブラシがなかなか届きにくい部分が口の中でどうしてもあり、歯磨きの上手な方が時間を掛けても100%きれいにするというのは無理に近いものですので、除去しきれていない歯垢も除去しています。

・歯周病ってどのくらいの人が持っていますか?

 軽症の人を含めると実際のところ、歯が残っている人の大半が歯周病にかかっていると言えます。

 なぜかというと歯周病菌は全ての人の口の中に常在菌として住み着いています。そして上記で述べたとおり、歯磨きを毎回完璧に磨くというのは非常に困難でもあります。

 つまり多少なりとも歯周病菌が増殖して歯の周りの組織を傷つけてしまうというのは、歯がある人間であれば誰しも多少なりとも起こっているからです。

 また、歯周病が進むと歯周ポケットが深くなってポケットの深い部分がさらに磨きにくくなってしまうという特徴もあります。

 歯周病が一度進んでしまった人は、しっかりきれいにするのが難しくなり、ますます歯周病が進んでしまう傾向があります。

 逆に、継続的にセルフケアをしっかりできている方は、歯周ポケットが浅いので磨き残しにくく、いつまでも健康な歯ぐきを維持できることもあります。

 また年齢も歯周病の進みやすさと関連しています。35歳頃から急に歯周病が進み出すと言われていますので、お若い方であまり熱心にセルフケアをしていないけれども特に問題ないという方も油断しないようにしてください。

 もう少し年齢が進むと一気に歯周病が進行してしまう症例を何度もみたことがあります。

・歯周病って治らないのですか?

 「治る」ということをどのように考えるかによりますが、歯ぐきが下がってしまうレベルで歯周病が進行してしまった場合、それを完全に元の状態に戻すことは不可能です。

 歯周ポケットができてしまっている部分は基本的には不可逆的な変化をしていますし、歯ぐきが下がる事も基本的には戻らない変化になります。歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまうのですが、その骨も基本には戻らない変化になります。

 そのため歯周病の治療の第一目標は「歯周病の進行を停止させて、今使えている歯がこれからも問題なく使えるようにする」ということになります。

 歯周病が進むと痛みが出たり、歯が揺れたり、歯が抜けたりしてしまうのですが、今後の人生単位でそうならないように抑止していくのが何よりの目標になってきます。

 また、歯周病で進んでしまった歯周ポケットや歯ぐきの下がりや骨の喪失は条件が限られていますが、ある程度は元に戻せる可能性もあります。治療目標は人によって異なりますのでより大きな治療効果を希望される場合は御相談ください。

・歯周病の歯槽膿漏や歯肉炎との違いは?

 

 歯周病というのはより専門的に言うと慢性歯周炎と呼びます。歯周病は歯槽膿漏とほぼ同じ意味で用いられます。歯槽膿漏という言葉は最近ではあまり使われないようになっているようです。

 歯肉炎は慢性歯周炎のより軽症のものを言います。

 上記に述べたように歯周病になると後戻りできないような歯ぐきの下がりや深いポケットや周りの骨の吸収が起こりますが、そのような不可逆的なまでは起こっていないけれども、歯ぐきが赤く腫れていることを言います。

・歯茎が下がってしまったのが気になる。

 歯ぐきが下がる事は歯周病が進んだり、歯ブラシの強い力が当たったりすると起こります。どちらも適切に管理できている方でも、ご高齢になると若いときよりは若干は下がるようです。

 

 また歯周病がそれなりに進んでいて歯ぐきが腫れ気味の方がセルフケアや歯周治療により歯ぐきの腫れが改善した場合にも歯ぐきが引き締まった分だけ歯ぐきが下がったように感じることもあります。

 歯周病の基本的治療のゴールは、歯周病の症状で悩まされることがなく、歯周病が進行しない状態を維持することなので、ある程度歯ぐきが下がってしまったものは仕方なく、それ以上下がらないようにするというのが基本的な考え方になります。

 条件が限られていますが、外科的治療などによりある程度は元に戻せる可能性もあります。治療目標は人によって異なりますので興味がある場合は御相談ください。

・歯が揺れているのが気になる。

 歯周病が進行すると歯を支える骨が溶けてしまうのですが、歯を支えている骨が少なくなると歯が揺れてきてしまいます。

 揺れが増加してくると硬い物が食べづらくなったり、噛むと痛みが出てきたりしてしまいます。

 さらに揺れが増加してくると自然に抜けてしまうこともあります。

 歯を支える骨は一定条件下で一部再生する場合もありますが、基本には大半は一度失うと戻らない変化になります。

 揺れてしまっている歯を隣の歯と固定することはありますが、見た目上の揺れが減るだけで揺れの原因となっている歯周病が改善される訳ではありません。

 固定すると歯ブラシが届きづらくなってしまうという欠点もあります。

 そのため揺れてきてしまっている歯はそれ以上揺れが増加しないように歯周病治療を継続しつつ、現在ある歯の揺れはある程度は仕方ないものと考えていただくのが基本にはなってしまいます。

・当院や他院で歯を抜くべきと言われました。歯を残せないですか?

 歯の病気は上記で述べたとおり元に戻りきらないものが多く、ある程度重症になると抜くことも選択肢に入ってきます。

 我々の専門学として教科書的に歯を抜くべき状態という基準も諸説はあるものの存在します。

 歯を残す治療をしても改善できず、満足に機能させるには問題がある場合などが該当します。

 ただし他の体の臓器と同じように、病気で満足に機能しないとしても、どうにか体から取らずに使い続けたいと考える人がいらっしゃるのも事実です。

 逆に、歯を残したままでは機能を回復させることが難しいなら、駄目になっている歯を除去した上で機能を十分に回復させたいと考えている方もいらっしゃいます。

 このあたりは一方的に我々の考え方を押しつけるべきではないと思いますので、ご本人の意見を尊重しつつ、どのようなお口の中にしたいかを一緒に考えて行ければ良いのではないかと考えております。

 しかしながら、抜歯も考慮すべき歯を残すとなると、痛みを繰り返したり噛みづらかったりするなど、改善の難しい不便さと付き合っていかなければならないということを意味しますのでご理解のほど宜しくお願いします。

・一度に歯石は取れないのですか?

 歯の周りに付着している歯石はどの深さにどのくらいの量がどのくらいの硬さで付着しているかが異なるため、患者さんの歯石の状況によって一度に除去できる場合もありますし、複数回かかる場合もございます。

 複数回かかる場合の1つとして歯石が深い場所にあるケースがあります(縁下歯石)。歯周病がそれなりに進行している場合にこういった歯石が付着しています。

 それを除去すると歯周病がある程度改善するため、ちゃんと除去する必要がありますが、見えない部分、器具が入りづらい部分に硬くこびりついているため、ポケットが深い場は治療回数が6回以上かかることを想定しておいてもらったほうがいいと思います。

 もう一つの場合として歯石が多く、固着している場合があります。これに関しては単純に時間がかかりすぎるというだけの問題になります。

 あまりに時間がかかる場合は、治療時間枠の問題や、歯石除去中にしみる症状が強くて長時間できない場合、口を長時間開けていて疲れてしまう、口の中に水を長時間溜め込むとむせてしまう場合などがあります。

 そのため状況が許されれば、普段なら複数回かかる歯石除去であったけれども1度で2回分の除去を行うことができて1度で終わらせることができた、というケースもあったりします。

 いずれにしろ歯石を長期間除去しないと歯周病にとって悪いだけでなく、歯石除去も治療期間や治療時間が延びてしまうためあまり望ましい状態とは言えません。

・歯周外科治療ってどんなものなのですか?

 一般的な歯石除去では改善が難しい歯周病症状に対して検討される外科的治療です。一般的な歯石除去をおこなっても歯ぐきの痛みが頻発する状態を改善させたり、歯周病で骨を失った部分を再生させたり、歯ぐきの下がりを戻す治療などがあります。

 日帰りの局所麻酔治療で、保険適応もあります。

 歯周病が成人の多くが罹患しており、重症の方も少なくないですが、重症の方すべてが歯周外科の対応ではなく、無理に外科治療にする必要もないと言われていますので、必要に応じてこちらからご提案させていただきます。

 歯周病に対して外科治療まですることにハードルの高さを感じてしまう方もおりますし、基本的な治療でもある程度は改善できますので無理に全員に受けさせる必要はありませんが、それによって悩みが改善される余地がありそうな方にはお話しすることがございます。ご理解のほど宜しくお願いします。

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