報道などで既に報じられている通り、政府の骨太の方針の中で歯科検診の義務化を2025年に行うことを検討しているとのことです。
歯の疾患はご存じの通り管理が悪いと発症・進行してしまう上に、軽症の場合は自覚症状が少ない場合が多いため、定期的に自身の歯周病の状態を把握する機会があるのは基本的には良いことだと思います。
現在の10年に1度の歯科検診はさすがに頻度が少なすぎて実効性に乏しいと言わざるを得ないので、有効なものが出てくるのは良いことだと思います。
私は健康診断で毎年血液検査をするのですが、中性脂肪の値が悪くなるのが気がかりでそれなりに暴食の歯止めになってくれています。それが10年に1度の検査だとしたら夜食などを控えようという抑止力にならないだろうなあとは思ってしまいます。
ただ実際にどうやって運用するのかは問題で簡単ではないと思います。少なくとも検診を受け付けている病院に歯科がない場合が多いので、どこまでできるかはという問題があります。毎年病院に検診で受診し、歯科医院にも検診で別途受診させるというのは国民全体の健康には良い事かもしれませんが、全国民に毎年課される負担としては大きいとは思います。
現在の1つのアイディアとしては唾液で細菌検査をしてスクリーニングするということを提案されていますが、それくらい簡便でないと実際現実的ではないのかもしれません。
ただ、検査前に徹底的に歯磨きをして、イソジンやリステリンでうがいしてしまえば唾液の細菌量を一時的に減らすことができるので、要受診と言われたくない人が逃れるための小細工はしやすい検査にはなってしまいます。
また時期的に選挙前の人気取りとも解釈でき、現実に開始するとしても4年後の話なので、実際本当に開始されるのかどうかは正直疑問というのが自分の意見ではあります。
1年に1度の検診が義務化されるにしろされないにしろ、結果的に歯周病のコントロールに多くの人が興味を持って行動に移せるような社会になってくれれば何よりだとは考えております。
大利根小板橋歯科医院 小板橋 敦
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