京都大学発のベンチャー企業が先天性無歯症の患者さんの治療薬として歯は生える薬を開発しているというニュースを見ました。
歯が生えるというのは画期的で歯科医師としても興味深いです。歯が無くなった場合に現在の医療では完全に元通りに戻すことができません。
それに歯が完全に無くなっていない場合だとしても、むし歯や歯周病などで大きく損傷してしまった歯の治療というのは、厳しい状態ながらもどうにか使えるようにするという治療になってしまうので、新しい天然歯に容易に交換できる技術があれば治療の考え方が劇的に変わります。
ただ今回開発中の薬は一般的に歯が無くなってしまった、悪くしてしまった人に使える薬にはならなそうです。
先天性無歯症の患者さんは歯の元となる組織が歯の完成品を作りきるまで正常に発育できないことによって歯がちゃんと生えないことによって起こる症状のようです。それを使える歯として完成させるよう誘導させるのが開発中の薬の狙いのようです。
そのため全ての歯が正常に作られた方の歯がなくなった場合には、歯を作る組織が基本的に残っていないので誘導させる対象がありません。広く多くの患者さんの歯を生やすための薬ではないようです。
20年くらい前は世間では再生治療の時代だ!と言われてはいましたが、なかなかそう簡単に実用レベルまで引き上げることは難しいようです。
とはいえ今後そういった薬が開発される可能性もないとは言えないので、画期的な治療は可能な限り取り入れたいと考えてアンテナを張って見守っております。
大利根小板橋歯科医院 歯科医師 小板橋 敦
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